チャベス大統領の国連演説

○南米最北部ベネズエラのチャベス大統領がアメリカ非難の国連演説
 2006年9月20日に、ベネズエラのフーゴ・チャベス大統領がニューヨークで開
催された第61回国連総会で演説し、アメリカの大統領を名指しではっきり「悪魔」と
呼んだ。にもかかわらず、この演説は、各国から熱烈な拍手をもって迎えられた。
 日本人が知っておかなけれぱならないことは、これほどあからさまな言葉で非難され
たアメリカを擁護する国が国連総会でひとつもなかったこと、そして、こうした国連の
雰囲気に、日本のマスメディアが一様に驚いた、という、その記者たちの国際情勢に対
する無知である。先代の無能総理大臣・小泉純‐郎が歴史に残した業績は、日本が再び
アメリカの占領統治下にあると宣言した卑屈きわまりない行為だけである。しかもそれ
に続いて、現在それに輪をかけた無能の総理大臣・安倍音三が、日本が手を結ぶべき両
家の筆順に、このアメリカを挙げている。
 これとまったく同じ構造が、六ケ所村問題であることを理解するために、チャベス大
統領の長い演説の一部をお読みいただきたい。

 昨日、私はここで、悪魔を見ました。(チャベスが演壇を指さしながら)昨日、悪魔
がまさにこの場所にいました。私が話しながら触れているこの机には、まだ硫黄のにお
いがしています。
 みなさま、昨日、私が「悪魔」と呼ぶアメリカの大統領がここに来て、この壇上か
ら、世界の地主のような顔をして話していました。昨日のアメリカ大統領の演説を分析
するために、精神科医がいてもよかったでしょう。帝国主義のスポークスマンとして、
支配と搾取と、世界の貧しい人びとからの略奪の見取図を管理する処方箋を渡すために
来たのです。アルフレッド・ヒッチコックの映画に、ぴったりじやないですか。『悪魔
の処方箋』という題名はどうでしょう。
 ・・・恥知らずで、欺瞞的な内容に満ちた世界的「暴君]の話は、帝国の偽善であ
り、世界のすべてを支配しようとする試みなのです。彼らは、私たちに、彼らが考える
民主主義的モデル、エリートが企てるでたらめの民主主義を押しつけたいのです。彼ら
が強制したい民主主義とは、空爆や爆撃機や侵略と、戦車のために税金を課すといっ
た、自分にしか通用しない民主主義なのです。何という民主主義でしょう! アリスト
テレスやギリシャで最初に民主主義について述べた人びとの言葉も、「民主主義とは、
海軍と、侵略と、攻撃と爆弾を押しつけるものだ」と訂正しなければならないです。
 ・・・私たちは、過激論者ではありません。ただ、貧しい民衆たちが目覚めつつあ
り、そのためどこでも反乱を起こすのです。帝国主長の独裁者様、あなたの残りの人生
は、悪魔にうなされ続けるのではないかという気がします。なぜなら、あなたが目を向
けるところ、どこでも、北米の帝国主義に反対して反乱を起こす私たちが登場するから
です。世界の自由のためにはっきりしていることは、貧しい民衆が平等であるために、
各国の主権を尊重するために、私たち白身、過激論者という名前の私たちが、帝国に反
対するために立ち上がり、民主主義のモデルに対して反乱を起こすのです・・・

○このあとチャベス大統領は、関連の改革について次のように具体的な提案をし
たが、日本の報道界は、この重大発言を無視してきた。

 みなさん、正直に認めましょう。第二次世界大戦後に生まれた国連というシステムが
すでに崩壊し、倒壊し、無用の長物になっているということを。この集まりは、すでに
単に考えるだけの組織であり、世界の人びとが生きているおそろしい現実に対して、こ
れっぽっちの影響もおよぽすことのできない組織に変り果ててしまったのです。だから
こそ私たちは、ここに再び提案するのです。
 第一は、安全保障理事会を、先進国、発展途上図、第三世界のどの関でも、平等に参
加できるように拡大しなければなりません。
 第二は、世界の紛争を解決する、実際に効果のある方法を使うことです。
 第三は、拒否権という非民主主義的メカニズムを廃止することです。匡連安保理の決
定を無視したアメリカ政府の不道徳な拒否権が、世界の人びとの前でイスラエルがレバ
ノンを勝手気ままに破壊することを許したのです。

○世界で孤立するアメリカ・イスラエル・日本の三ヶ国
 アメリカ、イスラエル、日本が世界中で孤立している現象は、すでに3年前ほどから
歴然と地球をおおっているのに、外国語といえば英語だけを主体とする日本人には、ヨ
−ロッパの変化、アジアの変化、中南米、アフリカの変化がまったく分っていないた
め、この演説に驚いた。
 チャベスが言う無力の国連に対して、北朝鮮問題をもちこんでいるのが、現在の日本
である。


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