平成18年12月22日
風評被害認定委員会
会長 蝦名 武 殿
哘 清悦
拝啓 時下益々ご清祥の事とお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、10月6日に改正されました風評認定委員会運営要領についてですが、気にな
る点について質問致しますので、ご回答下さいますようお願い致します。
また、10月2日に、「風評被害認定委員会の議事録をホ−ムペ−ジで公開」する事
を提案し要望致しておりましたが、次回の風評被害認定委員会後で構いませんので、そ れと合わせてご回答下さいますようお願い致します。 敬具
風評被害認定委員会運営要領についての質問
1.風評被害の定義の範囲について
風評被害認定委員会運営要領の第1条に、「この要領は、風評被害処理要綱(以下
「要綱」という。)第11条の規定に基づき、風評被害認定委員会(以下「委員会」
という。)の運営に関し、必要な事項を定めるものとする。」とあり、その風評被害
処理要綱の第1条に、「この要綱は、平成元年3月31日、青森県、六ケ所村、日木 原燃サービス株式会社、日本原燃産業株式会社及び電気事業連合会との間において取 り交わした「風評による被害対策に関する確認害」第4条の規定に基づき、風評によ る被害(以下「被害」という。)の公平かつ適切な処理を図るため、必要な事項を定 める。」とあり、その「風評による被害対策に関する確認害」には、「青森県(以下 「甲」という。)及び六ケ所村(以下「乙」という。)と日木原燃株式会社(以下 「丙」という。)及び電気事業連合会(以下「丁」という。)は、昭和60年4月1 8日付で締結した「原子燃料サイクル施設への立地への協力に関する基本協定書(以 下「現協定書」)という。」第7条第2項及び平成17年4月19日付で締結した
「MOX燃料加工施設の立地への協力に関する基本協定書」第7条第2項の風評によ
る被害対策の基本に関して以下のとおり確認する。」とある事から、貴委員会で取り 扱う風評被害の範囲は、「日本原燃株式会社の原子燃料サイクル施設とMOX燃料加 工施設に起因し、青森県民及び六ヶ所村民に発生した風評被害」と言えるのではない かと思います。
貴委員会で定めた風評被害の定義は、「事実でないこと、あるいは些細なことがお
おげさに取り上げられ、ある地域、ある業界が経済的被害を受けること。多くの場
合、事故、事件等を新聞、テレビなどのマスコミが大きくとりあげ、それが人々のあ
いだで風評(うわさ、評判)となって発生する。」とあらゆる風評被害をも網羅する
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ような定義となっていますが、O−157、ダイオキシン、農薬等が原因による風評
被害までも、貴委員会が取り扱う訳ではないので、貴委員会が取り扱う風評被害のみ に限定して定義しておく方が、運営上好ましいのではないかと思います。
私は、例えば、「日本原燃株式会社の原子力施設に起因し、消費者の心理に影響を
及ぼすような事実が、正確に国民に伝わらず、それが風評(うわさ、評判)に発展 し、日本原燃株式会社以外に経済的損失を被る者が発生すること。」という定義の方 が良いと思います。
この点についての貴委員会の考えを教えて下さい。
2.「 些細 」と「 おおげさ 」の表現について
貴委員会が定めた風評被害の定義では、「些細」、「おおげさ」という表現が使わ
れておりますが、貴委員会の判断が、当事者の利害に直接影響を及ぼす事を考える と、このような曖昧な表現については、貴委員会の信頼性を高めるためにも、事前に 可能な限り詳細に基準を定めて置くべきだと思います。
風評被害の定義を定める際に、過去の事例を参考に議論されたと思いますが、それ
らを基に、「些細」、「おおげさ」の表現についても、より具体的に基準を定めてお く事は可能だと思います。
この点についての貴委員会の考えを教えて下さい。
3.「マスコミがとりあげ、それが人々のあいだで風評(うわさ、評判)となっ
て発生する」の表現について
貴委員会が定めた風評被害の定義では、「風評発生の理由と経緯」が抜け落ちてい
るように感じました。
インタ−ネットが普及してはいるものの、マスコミによって伝達される情報が多い
事は事実だと思いますが、全ての人々が全く同じ判断をし、同じように買い控えると は限りません。同じ事実、同じ情報でも、放射線について正しい知識を有している 人々は、政府が定めた基準値以内であれば安全だと思い、そうではない人々は安全で はないと思い、自ずと消費行動にも違いが表れます。
その違いの原因は何かというと、「人々にその情報が伝わる前に、その人々がそれ
に対してどの程度正しく理解していたか」ではないかと思います。
核燃料サイクルについては、「国民の理解を得ながら進める」事が条件となってい
ますので、事業者である日本原燃株式会社は、当然、再処理工場から放出する放射性 物質についても、国民が正しく理解をしている事を確認してから事業を進めなくては ならず、これを怠る事は、風評被害が発生する事が予見できていながら放置した事に なります。
貴委員会が定めた風評被害の定義では、風評被害発生の原因は、マスコミであるよ
うに受け取られかねないような表現ですが、根本的な原因は、「日本原燃株式会社が 国民の理解を得ていない事」であると思います。
農水産物を例に考えた場合、「人々」については、伝えられた情報によって、それ
でも冷静に判断してそれまで通り買う人々と、過剰に反応して買わなくなる人々に分
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ける事ができます。貴委員会が取り扱う風評被害は、後者の人々によって発生した風
評被害以外しかないので、後者の人々だけを対象とした定義にすべきだと思います。 よって、「マスコミがとりあげ、それが人々のあいだで風評(うわさ、評判)とな り、放射線について正しく理解していない人々によって発生する」の方が、表現とし てはより適切だと思います。
この点についての貴委員会の考えを教えて下さい。
4.認定基準について
第5条の(1)では、「風評の内容や風評発生の経緯がサイクル施設の保守、運
営に起因する事故、事象の発生に伴うものであること。但し、委員会が認める場合 は、この限りではない。」となっておりますが、「事故、事象の発生」によって必 ずしも風評被害が発生するというものではありません。
消費者が心配しているのは、サイクル施設から「放射能が漏れたかどうか」で
す。
事故や事象の発生は、放射能漏れにつながる一つの原因ではありますが、サイク
ル施設の中の再処理工場については、事故や事象が発生しなくても、放射能が常に
漏れる設計となっていて、放射能放出試験が行われている今も、毎日放射能が外部
に大量に漏れています。事故や事象の発生によって洩れた放射能も、試験や通常運
転によって漏れた放射能も、質的には全く同じです。
私は、「風評の内容や風評発生の経緯がサイクル施設の保守、運営に起因し、放
射能が外部に洩れた事によるものであること。」とすべきだと思います。
この点についての貴委員会の考えを教えて下さい。
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