2007年

2007年8月29日
再処理の再開で 県民に説明は? 
 去年の今ごろ東通村原発を重要電源開発地点に指定すべきかどうかについて国が県の
意思を問うていました。ところが県民を代表する県議会が審議する前に、三村申吾知事
が「知事としては異議ない旨回答したい」との文書を議会各派に届け、問題になりまし
た。
 六ヶ所村の再処理工場は重要な耐震計算をミスし、それを隠していたことから試運転
は遅れに遅れていました。その補強工事を終えたので「再開したい」と二十一日、国と
事業者が三村知事に要請してき、その日に議員への説明会も開かれました。二十九日に
は全員協議会を開催し県議が意見を交わす段取りでした。歴史は繰り返されました。
 「国と事業者の対応は理解できるので再開は容認するつもりだ」との考えを、知事は
各県議に文書で伝えたというのです。二十四日の事です。すでに結論が見えた事をわざ
わざ二十九日に質疑する県議さん、腹が立ちませんか。三十日に開催される市町村長会
議で市民を代弁する首長さん、虚しくないですか。やはり三十日に開催される原子力政
策懇話会の有識者の皆さん、自尊心は傷つきませんか。 
 さてみなさん、青森県の主役は私たち県民ですよね。皆さんにはどんな説明がありま
したか。物分りの良い知事や議員ではなく、通の県民に何の説明も無いなんて、おかし
いと思いませんか。原燃賛成の人も反対の人も、国や事業者にバカにされていると思い
ませんか。


2007年8月7日
●東洋町で露呈 ●公募は疑問 原発のゴミ
 いきなり横文字で恐縮ですが「ナット・イン・マイ・バックヤード」をご存知でしょ
うか。三年前に福島大学の清水修二教授から教えてもらいました。「その施設が必要な
のは分るけどウチの近くじゃご免だね」という意味で、迷惑施設にかかわる「地域エ
ゴ」とも呼ばれているそうです。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題に揺れた高知県東洋町は、すったもんだのあ
げく四月二十二日、「調査に反対」を選択、高知県知事までが声高に「ノー」を叫びま
す。平成十四年に候補地の公募を始めてから早五年、滋賀県の余呉町や鹿児島県の南大
隈町などが誘致を検討しましたが、住民や知事の同意を得られずに断念。日本津々浦
々、今これに名乗りを挙げそうな気配はありません。
 迷惑施設といえば軍事関連施設と原子力関連施設が双璧でしょう。基地機能の強化や
負担の増強などを喜ぶ自治体はありませんが、それでも基地が存在するのは日本政府の
責任で事にあたっているからだと思います。基地を歓迎する自治体を一度も「公募」な
どしてはいません。
 こなた原子力発電所。五十五基になった今日でも、トラブル隠しやデータ改ざんなど
の不祥事が相次ぎ、安心や安全とは程遠い有様です。それでも電力消費の恩恵面だけを
享受できた時間は良かったのですが、先送りしてきたツケ・・放射性廃棄物の処分・・
とのご対面が近づきました。しかもツケを払う人を「公募する」計画だったのです。
 何が問題なのかおさらいします。わが国では電気エネルギーを火力発電・水力発電・
原子力発電などの組み合わせで調達し、その約三分の一を原子力で賄っています。今こ
うしている間にも(原発のない沖縄県を除く)全国民は、例外なく原子力発電の電気を
消費しているのです。
 原子力発電の利点はそれとして、最大の欠点は「放射性廃棄物」を産み落とすことに
あります。私たちはこの核の副産物を使いこなすどころか、原発の敷地内でも外でも扱
いに難儀し、それはそれは腫れ物に触るどころではありません。  
 私が使いあなたが使ったこの原発のゴミは既に日本にあり、毎日毎日たまり続けてい
ます。国が推奨する唯一の方法が「地中深くへ永遠に隔離する」なのですが、今のとこ
ろ「わが家へどうぞ」という市町村長は皆無です。前出の清水教授の話の続きですが・
・他の施設なら誰も手を挙げなかったら「建設しない」で済む。だが処分場はそうはい
かない・・と。つまり公募とは希望者がありそうな場合には有効でも、誰もが嫌うよう
な迷惑施設には不向きな方法だったのです。   
 原発のゴミはどう処分しましょうか。
@消費した量に応じ各県で貯蔵保管する
A自分以外の他の県で貯蔵保管してもらう、
B現在置いてある青森県で貯蔵保管してもらう・・・。
 先日、四十七都道府県の知事さんに公開アンケートをお願いしました。各県民を代表
する知事さんの考えが、国民の意見を代弁するのではないかと思ったからです。三十三
通の回答が有りましたが「自県で引き受ける」と答えた知事はゼロで、「国が責任を持
つべきだ」の回答が目立ちました。    
 地球のエネルギー事情は原子力発電無しでは解決できそうもありませんが、使う限り
は負の面に目をそむけるわけにもいきません。皆さん!皆さんが使った分の原発のゴ
ミ、どこにどうやって保管したら良いと思いますか。


2007年1月14日
風力発電機の 国産化にもっと力を
 ある議員に誘われて岩手県の葛巻町を視察しことがある。ないない尽くしの町がミル
クとワインで変貌を遂げ、今や年間四十万人が訪れる元気な山里だ。グリーンツーリズ
ムのモデルともされるこの地を支えているのが、風力発電だ。
 遠くからは白く美しい・・・としか感じられなかったのが、車を降り近づくにつれそ
の高さに威圧された。ビューン、ビューンという唸りには怖さすら覚えた。白い地肌に
触れながら見上げると、羽根の回転はことのほか速く力強い。瞬間、頭をよぎったのが
「倒れないのかな?」だった。
 八日に起きた発電機バッタリ事故は、東通村からの新年連発サプライズニュースだっ
た。原因については軽々に言えないが写真で見る限り、鋼鉄の本体とコンクリートの土
台をつなぐ鉄筋がやたら細いように思えた。コンクリートの質とか施工方法とか、厳し
い調査を期待したい。
 のどかに見える風力発電も、強い風を受けるのが仕事だからかなりハードだ。事故機
はデンマーク製で信頼性は高いそうだが、発祥の欧州は平地が多く風の乱れも小さい。
山頂立地が多く風の乱れも大きい日本とは立地も違う。にもかかわらずわが国は風力発
電の開発には不熱心で、国産の発電機は二十五%に過ぎない。
 原子力発電が究極の人造エネルギーなら、自然エネルギーの雄は風力発電だ。日本の
風土に合った、安心で安全でしかも廉価な風力発電システムの国産化に、これまでの何
百倍ものヒト・モノ・カネを投入する契機として欲しい。


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