2007.4.25
「マニフェストの公費負担を件が決定」という見出しに喜んだのですが、とりあえ
ず、A4一枚の印刷費を負担するということどまりのようです。もう少し踏み込んで、マ ニフェスト選挙を定着させる方策を検討してほしいと思います。
「市民とマニフェスト:あおもり研究ラウンジ」の活動を一年あまり続けてきて、痛
感することの一つは、行政情報(統計情報など)が、県民の行政理解を助け、判断材料 となるようには加工編さんされていないということです。
もちろん、加工編さんには、行政組織の利害や時の権力トップの恣意が入る危険がつ
ねにあります。しかし、いまの行政情報の出方では、マニフェスト選挙に持ち込むこと は相当に難しいのです。とくに、ふつうの市民・県民が自分も選択肢として名前を挙げ よう、そのためにマニフェストを整理してみようと考えたとき、かなり厳しい現実に直 面すると思います。
「市民とマニフェスト:あおもり研究ラウンジ」の活動自体が、それを緩和しようと
いうねらいを持ったものでした。一応、大学人として政治学にたずさわってきたもの、 在野で政策の研究調査を仕事しているものが呼びかけた会であり、現職の国会、県議 会、市町村議会議員や、首長や議員をめざす会員もいて、とうてい素人集団とは言えま せん。
しかし、「知事選に期待されるマニフェスト」の提言をまとめる上で、時間も足りま
せんでしたが、適切に加工され、利用できる情報は決定的に不足していました。ふつう の県民が、この加工情報不足を簡単に克服することはおそらくできません。
そこで、県庁へのもう一歩の期待ですが、立候補を検討する人がマニフェストづくり
に必要と考える加工情報について、一定の条件づきでリストアップを求め、県庁からそ のための加工情報を提供するというしくみがほしいと思います。
県庁にとって、あるいは現職知事にとって都合の悪い情報になるかもしれませんが、
選挙で県民の判断を仰ぐためには、公平な情報量でマニフェストづくりを競うことが必 要だと思います。
全国では、現職以外の挑戦者が内容のあるマニフェストづくりに取り組めるよう、条
例によって、立候補をめざす人に情報提供を義務づけるところも出てきました。面白い ことに、地域のため、町のためにと、マニフェスト選挙に踏み込んだ、自民党系のベテ ラン首長の自治体が、(ライバルになるであろう人のために)そういう条例を作ってい るのです。
今回の知事選では、三村マニフェスト、堀マニフェストが出るようです。発表後に、
なるべく急いで読み込んだうえで、論評をしてみたいと思いますが、それにしても実際 には(とくに三村マニフェストは)誰が執筆しているのでしょうか。
県職員が書いているなら、情報入手は容易でしょうが(職務中に書いているなら別な
問題があります)、選対本部のスタッフが執筆しているなら、やはり何らかの情報入手 支援の規定が必要だろうと思います。
それに、保守系(自民党系)が常に与党なわけでもありません。財政再建が最大争点
だった前回知事選では、有力2候補だった三村(現知事)、横山(現代議士)両候補 は、そろって「財政のことはなってみないと分からない」という余りに慎重なスタンス をとっていました。
公開討論あおもりフォーラムの立場でATVのテレビ討論と、選挙戦中の合同個人演説
会をコーディネートした私(中橋)は、それでは県民が選択できないではないかと、二 人の勉強不足を批判しました。しかし、今になって考えると、これは、二人の個人的勉 強不足の問題というより、これまで政治を担ってきた社会集団が(自民党、民主党、か つての県民協会とも)、実は政策論についてあまりに粗雑だったこと、そして、本心の ところ、だれも政策で選挙の決着がつくと思っていなかったこと、それがより本質的な 問題なのだろうと思います。
しかし、これからはそういうわけにはいかなくなります。自民党も与党として県庁職
員に政策の中味を任せたままでいいというわけにはいかないでしょう。現在自民党県連 が整理できるレベルは、知事に提言された政策大綱でおおよそのことが分かりますが、 プログラム性のまるでない、あのレベルの総花政策では、現在のあおもりの緊急課題に 対応することはできないと思います。
これからの選挙で、マニフェスト立案をきっかけに、行政情報が政治主体に使い勝手
の良い(ということは、県民にとっても理解しやすということです)ものに変換され、 提供されることは、これからの政党、政治家にとって(もちろん自民党にとっても)必 要なことであり、何より、県民とって利益の大きいことであると思います。
どうですか、三村さん。今回の県費での印刷費負担条例、マニフェスト選挙を包括的
に支えるもっと内容豊かなものに改訂しませんか。
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