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当会の会員で無農薬で米を栽培し県の認証も受け、消費者に直接販売している会員が
います。昨今、食に安全・安心を求める消費者が増えておりますが、通常の米に比べ価 格が高くても安全性を重視し、無農薬にこだわって購入されるお客様である事から、こ の会員は特に、再処理工場の稼動によってお客様の心理に与える影響を心配し、県にも 再処理をさせないようにと強く要望してきました。
今年の7月には試算隠しが発覚し、再処理がコスト面で何ら優位性がない事が明らか
になり、8月の美浜原発の事故によって、原子力施設の安全性とそれを管理する事業者 の信頼は失われ、原子力委員会での新長期計画でも、最終処分地の問題は先送りされま した。再処理工場で事故が起きたらどうなるのだろうか、このまま青森県が核のゴミ捨 て場にされてしまうのではないか、青森県の農産物のイメ−ジが悪くなるのではないか など、県民及び農業者の不安が、更に高まるような事が続いて起きました。これらは、 「原子力施設に不安を感じる県民は81.6%」というアンケ−ト結果が出た後に起き た事なので、今は更に不安を感じる県民は増えていると考えられます。そのような状況 下にも関わらず、県民には十分な説明もせず、県民が理解したかどうかを確認する事も せず、ウラン試験の安全協定を締結した事は、本県の主役である県民を無視した事であ り、手続き上、重大な過ちを犯したと言わざるを得ません。
そしてその会員は、ウラン試験が始まるという事実をお客様に正直に伝え、それまで
通り購入してくれるかどうかを確認したところ、ウラン試験が始まってから収穫した米 は買わないというお客様が現れました。幸い今から買わないというお客様はまだいませ ん。来年の秋までにはまだ時間がありますので、風評被害を未然に防ぐ対策を強化する ように強く要請致します。
参考までにその女性が書いた手紙とアンケ−ト結果を添付致します。
平成16年12月16日
青 森 県 知 事
三 村 申 吾 殿
再処理工場について勉強する農業者の会
会長 哘 清 悦
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1 三村知事が国等に対し確認をした際に頂いた発言内容について
近藤原子力委員会委員長(4月16日)
「使用済み燃料を再処理して、プルトニウム等を利用する核燃料サイクルについ
ては、我が国原子力政策の基本であり、原子力委員会の説明責任として国民の理解 活動に取組んでいる。」
「六ヶ所再処理施設の信頼回復については、地域社会への丁寧な説明が重要であ
り、原子力委員会として、青森での公開討論会や核燃料サイクルを語る会を開催し てきている。」
藤電気事業連合会会長(4月16日)
「六ヶ所再処理施設の信頼回復については、「あいた信頼の穴はステンレスの板
では埋められない」との言葉を肝に命じ、電気事業者としても、日本原燃株式会社 の広報・広聴活動や迅速で分かりやすい情報公開に一体となって取り組んでいく。」
「また、電気事業者としては、安全確保を大前提に、県民の理解を得ながら、原
子燃料サイクル事業を着実に進め、日本原燃株式会社が地元の会社として地域から 信頼が得られるよう、日本原燃株式会社と一体となって業界の総力をあげて取り組 んでまいる。」
中川経済産業大臣(4月26日)
「核燃料政策の確立については、原子力政策の基本であり、昨年10月に閣議決
定されたエネルギ−基本計画においても、核燃料サイクル政策を推進することを国 の基本的考え方としている。安全性と地元の理解を前提に、政府一体として推進し ていく。」
福田内閣官房長官(4月26日)
「プルサ−マルを含む核燃料サイクル政策の確立は、我が国原子力政策の基本で
あり、昨年10月に閣議決定されたエネルギ−基本計画においても、「核燃料サイ クル政策を推進することを国の基本的考え方」として明記している。安全確保を前 提に、国民、住民の皆様にご理解とご協力を得ながら、政府一体となって着実に推 進していくという方針に変わりはない。」
「また、日本原燃株式会社は、地域の目線に立った、実のあるコミュニケ−ショ
ンを重ねる必要があり、経済産業省では同社の取組みを適切に指導していくことと しているようであるが、原子力施設に関して地元のご理解をいただくことに関して は、政府としても一体となって取り組むことが必要と考えている。」
これらの発言から、核燃料サイクル政策を推進するためには「地元である青森県
民の理解が前提であり、国民の理解を得る事」が必要だとの認識であると読み取れる。
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2 国民・県民の理解度の確認について
農産物を生産する農業者にとって、消費者が喜んで買ってくれるかどうかが重要
であり、食料に関しては、全ての国民が消費者であると言える。農業者の立場で考 えると、国民の理解を得るという事は、消費者の理解を得るという事であり、消費 者が再処理工場が稼動している事を理由に購入を控えるという事は、核燃料サイク ル政策が国民に十分理解されていないという事である。
そこで、核燃料サイクル政策について、国民・県民のどの程度の人が理解をして
いるのか、そして、国・県・事業者のそれぞれが、今後どのように国民・県民の理 解度を高めようとしているのかがわかる資料や計画書を、県民から要求があった際 には提供できるようにする事。
3 国民・県民への理解活動について
日本原燃株式会社の説明によると、再処理工場から放出される放射能の影響は、
自然放射線の百分の一であるとの事から、国民全てが正しく理解していれば、事故 等の特別な状況を除いて、風評被害は起こり得ない筈である。事故が起こってもい ないのに風評被害が発生する事がないように、必要最低限の知識を国民が有するよ う、国・県・事業者が一体となって理解活動を強力に推進する事。
4 風評被害の発生原因とその未然防止について
「風評被害が心配だと騒ぐから風評被害が発生する」と言う人もいるが、それは
間違いであり、「その必要性も含めて、国民の理解が得られたかどうかを確認もせ ずに、再処理工場を稼動させる事そのものが、風評被害の発生原因」であると考える。
再処理工場が稼動しなければ、「風評被害が心配だ」とどんなに騒ぐ人がいても、
絶対に風評被害は起きない筈である。この事をよく踏まえて、風評被害を未然に防
ぐ対策を早急に実施する事。国民の理解を得ていない再処理工場を稼動させない事 が最も効果的であり、そうするべきである。ウラン試験を始める前に、国民・県民 への理解活動を強力に推進し、まず先に国民・県民の理解を得る事。
近藤原子力委員会委員長、藤電気事業連合会会長、中川経済産業大臣、福田内閣
官房長官ら自ら発した言葉に責任を持たせ、確実に実施させる事。
5 風評被害が発生した際の速やかな対応について
国・県・事業者が一体となり国民の理解活動を行い、仮に一定の成果が得られた
としても、国民全てから理解が得られるという事は極めて困難だと考えられる。無 農薬にこだわるお客様の全てが、自然放射線の百分の一というレベルを許容できる とも限らない。また、そのような人は少なからず現れると思う。そのような場合に 備えて、適正な審査を行い、速やかに損失額を算定し補償するような体制を整えて おく事。
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