七戸町立盛田稔記念図書館設置構想


七戸町立盛田稔記念図書館設置構想(七戸町議会一般質問議事録から)
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平成20年第3回七戸町議会定例会 会議録(第2号)
平成20年9月8日(月) 午前10時00分開議

○8番(三上正二君)
 七戸町立盛田稔記念図書館設置構想についてお伺いいたします。
 皆さん御存じと思いますけれども、4代150年にも及び、長きにわたり中世歴史研
を中心とする膨大な資料を含め収集された、6万点余にも達すると言われる書籍資料
は、私も一部見させていただきましたが、大変貴重な資料ばかりであると思われます。
 その保存や整理の現状はどのようになっているのでしょうか。個人のものですからな
かなかわかりづらいですけれど、知る範囲で結構です、教えてください。
 盛田稔先生の図書資料は、100%個人の所有物件であり、第三者が問題提起するこ
とは不適切という意見があることも十分わかっておりますが、以前から盛田先生の貴重
な書籍資料を何とか保存、利用する方法がないものかと話題になったこともありまし
た。また、先般、盛田稔記念図書館設立準備委員会も発足しました。既に第三者を通じ
まして、先生の意向が町当局にも伝えられているものと思っておりますので、あえて質
問させていただきます。
 6万点余にも及ぶ、これだけ数多くの点数になりますと、なかなか個人の管理では難
しいものと思われます。この貴重な蔵書資料の流出、散逸、劣化、破損等、管理不十分
のため不測の事態のないことを祈りますが、特に、私も経験しましたけれども、火災の
心配について十分な配慮が必要ではないかと思います。将来、長期的な視点で考えたと
き、このままでは盛田家の損失のみならず、七戸町全体、ひいてはこの地域の貴重な文
化的資産を失うことにならないでしょうか。適切な対応が必要だと思います。
 そこで町長、七戸庁舎の4階のリフォームを行い、盛田稔先生を名誉館長として七戸
町立盛田稔記念図書館として整備してはいかがでしょうか。
 全国的には、多数の市町村立図書館があり、また、多数の職員を擁し、立派な図書館
や巨大なケースを誇る図書館、大量の蔵書を有する図書館等たくさんありますが、必ず
しも評価に値するかどうかは定かではありません。
 この本記念図書館は、真に生きた図書館として、地方にあり、小図書館として施設も
決して立派なものではないでしょうが、人々の共感を得ることのできる図書館、まちづ
くりに寄与することのできる図書館として、盛田稔先生を中心として歴史研究のメッカ
としての図書館を目指す方向のほうがよいと思います。七戸ならではの個性豊かな、大
変ユニークで、現実的に社会的貢献を十分果たすことのできるような、七戸の町民のみ
んなが歴史と文化のまちだという誇りに思えるような記念図書館を、盛田稔先生のお元
気なうちに、もう高齢でございます、お元気なうちに早急に準備していただきたいと思
いますが、町長と教育長のお考えをお聞かせ願います。

○町長(福士孝衛君)
 それでは、三上議員にお答えを申し上げます。
 御承知のように、盛田稔先生は、長年にわたり、青森大学の学長として青森県の高等
教育に大きな足跡をしるしたばかりか、中世の歴史研究を中心とする著書等の執筆活動
を初めとして、91歳という御高齢にもかかわらず、現在、南部馬を中心とした日本古
来の在来馬の歴史研究を続けておられます。
 その先生の書斎には、盛田家4代、約150年の長きにわたり収集された大変貴重な
書籍、古文書等の所蔵は、約5万点とも6万点にも及ぶと言われるほど膨大な資料と聞
き及んでおります。
 8月25日、盛田先生の蔵書等の保存、活用のできる施設の整備を求める、町民有志
の方々による七戸町立盛田稔記念図書館整備促進協議会が設立され、9月1日、協議会
の代表の方々から陳情を受けております。
 盛田氏が所蔵される町の歴史的、文化的に価値のある大変貴重な書籍、古文書の将来
を考えた場合、町としては、収集、保存し、町民共有の歴史的資料、また、文化遺産と
して後世に伝えていくとともに、閲覧サービス等を通じて、町民の皆様に歴史情報を提
供する環境を整えていかなければならないと思っております。
 また、平成27年度を目標年次として、平成18年度に策定いたしました七戸町長期
総合計画には、生涯学習の拠点となる公民館、図書館等の施設の整備を図ることとして
おりますので、財政環境が大変厳しい中にあっても、英知を結集し、施設等の整備をす
るために努力をしてまいりたいと思います。
 また、御提言の支所の4階を改造して、その図書館に充てたらということであります
けれども、支所とかその他の遊休施設といいますか、そういうもの等も総合的にいろい
ろ検討しながら、適切に対応してまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思い
ます。

○教育長(新谷勝弘君)
 町立盛田稔記念図書館設置の構想について、三上議員の御質問に教育委員会としての
考えを述べさせていただきたいと思います。
 盛田稔先生の大変貴重な書籍、古文書等の所蔵については、教育委員会としても町の
歴史的資料として大変重要なものであると思っており、これらをできれば収集、保存す
べきだと、このように考えております。
 これと同じことが八戸市においても、八戸市市史編纂委員会の方々から、「市史編纂
で収集した数多くの歴史的資料の散逸を防ぎ、後世に伝えていくとともに、閲覧等を通
じて市民に情報提供が可能な施設の設置を提言した」と、このように8月23日の東奥
日報の朝刊に記事として掲載されておりました。
 国においても、国立公文書館法によって、国の各機関で保存している歴史的資料とし
ての重要な公文書等を国立公文書館に移管することができるように定め、貴重な資料の
散逸を防ぎ、後世に伝えるよう努めているところであります。
 同様に、全国の市町村の1%ではありますが、例えば、神奈川県の川崎市、沖縄県の
北谷町などでは、公文書館法によって、既に収集、保存、閲覧を行っているとのことで
あります。
 したがいまして、町民共有の財産にするとともに、全国への歴史情報発信の基地とな
るよう、また、生徒、学生などへの歴史学習の場の提供をすることができるなど、施設
の構想を検討し、盛田先生所蔵の書籍等を収集、保存していきたい、このように考えて
おります。
 先ほど三上議員からお話しのありました中で、場所の支所4階のお話がございました
けれども、このことに関しましては、何せ先生は御高齢でございます。しかも、現在、
執筆活動中でございますので、仮に図書、書籍等を移動するにしましても、先生が最も
使いやすい場所ということで、現在あいている支所の4階が先生の執筆活動をするのに
は非常に適切な場所でなかろうかということで、とりあえず構想はそのように考えてご
ざいます。
 ただし、今後、さらにまた検討を要するというふうに現在思っておりますし、また、
この記念図書館を実際につくるというふうなことになりますと、当然、先生お一人だけ
というわけにはいかないわけでございます。当然、図書館を管理運営する司書等職員に
ついても今後検討を要すると、このように考えてございますので、御理解のほどよろし
くお願いいたしたいと思います。

○8番(三上正二君)
 今、町長さんは、27年度までと。先生は今91歳なのです。本人の意向は町長も教
育長も実際聞いているからいいとしてみても、きょう多分、4番議員は自分が関係者だ
と思って欠席したと思うのだけれども、家族の人の同意は得たとしてみても、やっぱり
ちゃんとした形にしてくれなければ、いつ、こういうふうな不謹慎なこと言っても、い
つどういう不測の事態が起きてもおかしくない年でしょう。だから、先生がせっかくそ
ういうふうにしてもいいと。ただ、移すといっても、今教育長が言ったとおり、ただ引
っ越しみたいに持っていけばいいといっても、整理整頓しなければならないし、それか
ら、先生がやっぱり毎日まだ勉強しているから、死ぬまで勉強したいという人だから。
だから、そのため時間もかかると思うのだけれども、であればあるほどに早くやらなけ
ればならないと思うし。何ぼ遅くとも、本当は来年からでもと言ったって、それは無理
だと思う。でも、新幹線が開通するのと合わせて、何とかその辺あたり、100%にな
らなくてみても、その辺になってしまうと思うのです。
 それともう一つ、先ほど皆さん、いろいろな方々が質問しましたけれども、町の旧商
店街の活性化という意味でも、一助の功をなせると思うのです。というのは、七戸の道
の駅、あそこはなかなかない記念美術館、鷹山宇一記念美術館と。あれ、相乗効果で、
かなりその効果もあって、あそこはあれだけ年間100万人と言えるぐらい人が行って
いると思うのです。
 とすれば、教育長も話したとおり、ここの先生が持っている歴史書というのは、古代
から中世、近世までかなりの、私も一部コピーをもらいましたけれども、旧七戸、七戸
県のあたり、明治初期のあたりだから、ここの家が、盛喜さんの家が何尺何寸まで書い
てある、そういう図面まであるのです。だから、そういうのだって、原本、そういうも
のはもうぼろぼろになっている状態なわけです。そういう状態でもあるので、そうなれ
ば、研究機関の専門的な小図書館になると思うのです。そうなれば、当然として、県内
外からでも、そして、先生は青森大学の学長と弘前大学の教授もしてきているというこ
とで、いろいろな形の拠点になると思うのです。そうなれば、当然と来た人が、それこ
そ新幹線の時代も迎えながら、やっぱりこの町、旧七戸町の中にも入っていくし、そう
なれば道の駅の美術館みたいに、やっぱり記念図書館の七戸町という一つの名にもなる
と思うのです。
 それと今、来年からですか、道ノ上の保育所も民間になるし、人もあくと思うので。
ただ、手助けと出ても、これ手伝いできるというものではないでしょうけれども、幸い
にして、七戸の役場の中では司書資格、また司書となるものを持った人が3人か4人い
ると聞きますので、毎日この手伝いをするわけにいかないとしてみても、できるだけ早
くやったほうがいいと思うのですけれども、その辺のところは何とか教育長でも、町長
でも、考慮してもらえませんでしょうか。

○教育長(新谷勝弘君)
 再度の三上議員の御質問にお答え申し上げたいと思います。
 議員がお話しになられましたように、この書物、古文書等につきましては、やはり私
物、個人のものでございますので、早急にこちらのほうでというわけにはいきませんで
した。このお話を伺ったのはもう既に3年ほど前になるわけですけれども、盛田稔先生
個人から口頭でお話を伺ってはございました。ただ、町として、すぐそれに取りかかる
ということはいかがなものかというふうなことで、今まで様子をうかがいながら、何と
かしなければと思ってきたわけですが、つい9月の4日、今の9月の4日ですから、何
日か前になるのですが、盛田先生のほうから寄附採納願というのが出てまいりました。
 稔先生から寄附採納が出ると同時に、御家族の方々も、この古文書なり書籍等を今後
自分たちで保管するということはなかなか容易ではない、何かどこかで保存してもらえ
ればそれにこしたことはないということもお話を伺ってございます。
 したがって、これからは、先ほど議員のお話にあったように、できるだけ早く、とい
うのは、保管している場所もやはり火災の心配等でございますし、それから、古くなっ
て虫が食ってきたのでしょうか、天井の柱のほうから粉のようなものが落ちてきており
ます。
 そういう現状にあるものですから、あの大切な書籍等をできるだけ早目に移動するべ
きではないかと。あるいは、火災のことについての消火栓とか、そういうふうなのがあ
るわけではございませんので、何とかそれからも防いでいかなければならないというふ
うなことで、でき得れば、新幹線開業までに、全部とは当然いきません、6万、7万と
いう数の書籍でございますので、時間はかかりますが、それまでに一部オープンでもで
きればなというふうに教育委員会としては考えているところでございます。
 なお、けさの一番最初に3番議員からお話のあった町立図書館の件も話題に出ており
ましたし、そういう関係等も考慮に入れながら、何とか早目に考えていきたいと、この
ように考えてございますので、御理解のほどよろしくお願いいたしたいと思います。

○町長(福士孝衛君)
 それでは、私からも答弁をさせていただきます。
 先ほど申し上げましたように、27年度を目標年次としてやるということは、公民館
とか図書館とか、そういうものがすべて含まれるということですけれども、この盛田記
念図書館等については、これは一つそういうものとはまた一線を画したものであります
ので、そういうこともあって、先ほど言いましたけれども、財政環境が大変厳しい中に
あっても、英知を結集して整備を進めていきたいという特別の文言を入れて決意を述べ
ていますので、御理解いただきたいと思います。

○8番(三上正二君)
 町長から、特別な文言を入れますということですね。確かにこれだけの貴重な資料と
かそうなれば、一回散れば、散らばってしまえば、絶対集められない。それでもまだど
んどん悪くなって劣化して、開けばすき間が出て見えないところがたくさんあるわけで
す。そういうのは多々あると思うから、確かに今新幹線とかそういうので財政というの
も厳しい、そういうところであるとは思うのですけれども、できれば来年からでもとい
うより手をつけてやってもらって、そうしないとこれ、とてもでないが、先生それでい
ついいと言ったって、家族の人だって、いやと出れば、これも困ったものになるから、
本人はいいのですけれど、しゃべると思っているけれども。だから、是が非でも早く
に、盛田稔先生のそういう資料が出てきているのであれば、すぐに打ち合わせして、ま
た、まして先生、死ぬまで勉強したいから、やっぱり支所のあたりが一番、家も隣だ
し、そういう形でも先生の便宜を図りながら、名誉館長としてまたそういう形の中でし
て、何とかやってもらいたいと思います。
 あとはお願いです。答弁はしたければしてもいいし、なければいいです。

○教育長(新谷勝弘君)
 今、大変貴重な御意見をいただきましたけれども、教育委員会としても、でき得る早
くプロジェクトチームのようなものを設定して、立ち上げて、早急にでも検討していき
たいと、このように考えてございますので、よろしくお願いしたいと思います。
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平成20年第4回七戸町議会定例会 会議録(第2号)
平成20年12月11日(月) 午前10時00分開議

○1番(附田俊仁君)
 我が町は、恵まれた歴史的、文化的遺産を有しております。時代が全く異なり、性質
を異にした代表的な史跡であります七戸城址並びに二ツ森貝塚遺跡、二つの史跡は国か
らのお墨つきをいただいており、後世にしっかりと伝えていかなければならないものと
考えております。現在は、新幹線の新駅開業に向けての整備で人的にも財政的にも厳し
い状況ではありますが、行財政が落ちつきを取り戻した暁には、優先的に整備活用して
いただきたいと思います。地域に眠る歴史に光を当てることは、そこに暮らす人々にア
イデンティティを形成させ、自尊心の育成や地域の一体感に大きな力を発揮することは
皆さん御存じのとおりです。そこで、七戸城址並びに二ツ森貝塚遺跡の整備活用計画
あるのかどうか。また、あるとすれば、その整備状況についてお尋ねいたします。

○町長(福士孝衛君)
 それでは、附田議員にお答えを申し上げます。
 まず、七戸城址、城跡並びに二ツ森貝塚遺跡の活用計画についての御質問でありま
す。御承知のように、史跡七戸城跡は、中世の城跡として、昭和16年12月に国の史
跡指定を受けております。南部市の北方防衛の最前線としての性格が強く、防備のため
の城の本格的な整備、拡張、寺院の創建、出域等の配置が行われたと推察されておりま
す。そのような歴史的背景に基づき、東北新幹線(仮称)七戸駅開業前に史跡七戸城跡
の北館を整備する計画がありましたが、町の財政が厳しいため休止している状況にあり
ます。そのような状況の中で、財団法人東日本鉄道文化財団から助成金をいただきまし
て、平成17年度、七戸城自然地形模型、平成18年度、七戸城北館建物配置模型及び
史跡ガイド地図等の看板の設置、平成19年度には七戸城東門の建設をし、環境整備を
行ってまいりました。
 次に、史跡二ツ森貝塚遺跡は、縄文時代当時の自然環境、食生活、そして社会構造を
解くための情報を多く含み、東北地方でも最大級の遺跡と言われ、平成10年1月に国
の史跡指定を受けており、本年9月、北海道、北東北の縄文遺跡群として、文化庁文化
財審議会で世界遺産登録のための国内の候補遺産リストに記載されております。また、
地元の方々による草刈り作業等の御協力を得ながら環境整備を行っておるところであり
ます。今後、平成27年度を目標年度として、平成18年に策定した七戸町長期総合計
画に基づき、二ツ森貝塚遺跡の発掘・保存及び展示、体験可能な施設などを含めた整備
活用計画を策定し、七戸城跡と同様、文化振興や地域振興のため、観光拠点としての有
効活用を模索し、少ない経費で大きな効果を生み出し、遺構・遺跡などに傷つけない方
法で、より効果的な観光客の集客や、町に伝わる歴史と文化を後世に継承していくこと
のできる広告塔的役割を備えたものとして、町の財政状況に明るい兆しが見えてきた時
点で、英知を結集し、さらなる整備活用を図っていきたいと思いますので、御理解を賜
りたいと存じます。


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